ついに彼女の部屋に招待された。さあ、あなたはどうする?
デートも回数を重ねると、男性は期待を高めていく。
彼女の手を握り、肩を抱き、キスをした。
そろそろ彼女ともっと深い仲になりたいと思うのは当然の感情にちがいない。
じつは、この時期が恋愛の醍醐味を味わえる一番おいしい時なのではないだろうか。
心に抱いた期待と彼女の一挙手一投足に、ハラハラドキドキと胸を高鳴らせ、いつ彼女に誘いをかけようかと思い悩む。
人を好きになるということは、このような心の高鳴りがあるからこそ、すばらしく感じられるし、振られてもまたこりもなくだれかを好きになるのである。
私の知っている大学生もそんな一人だ。
彼女とつきあいはじめて三カ月、キスまではすませている。
そろそろ機も熟したころだと思い、タイミングを計っていた。
「そういうときって、彼女の行動の深読みをしちゃうんですよ。だって三ヶ月もデートをくり返しているんですから、彼女の方もそれなりに考えているはずでしょ?」
「だから、ちょっとした言葉や表情から、彼女はOKのサインを出しているのかなって思ってたんです」と彼は言う。
ある日、彼がデートの帰りに彼女をアパートまで送っていくと、彼女は「部屋でお茶でも飲んでいかないか」と言う。
なかなか行動を起こさない自分にしびれを切らし、彼女がきっかけをつくってくれているのだと彼の胸は高鳴った。
コーヒーを飲みながら、しばらく雑談しているうちに、ふと沈黙が訪れた。
彼は意を決して彼女に迫っていったが、彼女は嫌がり泣きだしてしまった。
びっくりした彼は、ひたすら謝り、早々に彼女の部屋から退散したという。
この失敗の原因は、彼女が部屋に上げてくれたことを自分と深い関係になってもいい、という意思表示だと勘違いしたことにあるが、 彼が彼女の気持ちを読みとれなかったのも無理はない。
それほど女性心理は複雑なのである。
女性は自分に好意を寄せてくれる男性に、その好意のお返しをしたいと思うことが多い。
ただ、この場合のお返しは、純粋な意味での好意に対する返礼であって、そこに深い意味が隠されているわけではないのである。
女性からの誘いのサインと、この純粋なお返しを見分けるのは非常にむずかしいが、彼女の部屋に招待されても、それが彼女のOKサインではないということを理解しておくことは必要だろう。
そうすれば、彼女に迫るまえに、彼女の気持ちを確認するための余裕をもてるわげである。
キスしたあとは、いつもの倍 「好きだ」という気持ちを伝えよう
フランスの有名な映画監督クロード・ルルーシュの映画に『男と女』というものがある。
フランス・ヌーベルヴァーグの代表作の一つにも数えられているので、ご覧になった方も多いのではないだろうか。
だいぶ以前に観たのでうろ覚えなのだが、寄宿制の学校に子どもを送り届げるために車を走らせている男が、途中で同じ学校に子どもを連れていく女性と出会い、クルマに同乗させているうちに気持ちを通わせ合うというラプストーリーだったように思う。
この映画のラストシーンは印象的で、私もここだけはしっかりと記憶に残っている。
途中ひょんなことから別れた男女が、駅のプラットホームで再会し、抱き合ってキスをするのである。
なぜ、このラストシーンが頭にこびりついているかというと、抱き合ってキスをした男女が、このあとうまくやっていげるのかどうか気になったからだ。
一般に、映画でも実生活でも、キスは一つの到達点と思われているようだ。
キスで終われば、観客はハッピーエンドを感じるものだが、私はこの映画の主人公たちは、このあと男と女の関係になったのだ ろうか?
そしてまた、二人の関係はずっとつづいていくのだろうか。
そんなことを考えてしまうのである。
何回かデートを重ね、彼女とキスすることに成功すると、男性はこれで彼女を自分の手に入れたと考えがちだ。
そして、キスをしたのだから、つぎは最後へと考える。
もう彼女は、いつでもOKしてくれると思い込んでしまう。
キスは、たしかにお互いの愛情確認ではあるが、女性がなにもかも捧げるというサインではない。
そんなときに、キスしたから最後までと男性が早急に求めたとしたら、女性に拒絶されたとしても、それは自分の責任であると言わざるをえない。
もちろん、女性もキスをしたことによって、最後までの予感や期待は感じるだろう。
しかし、だからこそ女性は男性の愛情や誠意をいままで以上に感じたいのである。
女性は、キスという行為で最後までをOKするのではなく、男性の愛情や誠意で精神的な高まりを感じたときに、体を許すのだ。
彼女とキスまでいったときこそ、愛情や誠意を彼女に充分すぎるくらいに示したほうがいい。
キスだけで終わることのない本当のハッピーエンドを手に入れるのは、結局、彼女を大事にしたいという気持ちしかないのである。
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