近年あまり聞かれなくなった地域の金融システムに、頼母子講(たのもしこう)というものがあります。
発祥は鎌倉時代で、西日本では「頼母子講」、東日本では「無尽」、沖縄では「模合」(もあい)などと呼ばれます。
10~20人単位の小さなグループを作り、毎月お金を積み立ててお互いに融通しあう関係のことを指します。
今回の記事では、そんな頼母子講は違法なのかについて、意味や仕組みをより簡単に説明していきます。
頼母子講の仕組み
頼母子講は、まず主宰者(講元、座元)が信用のおける仲間を集めてスタートします。
例えば10名が集まり、一人当たり毎月10万円ずつ、1年間(12ヶ月)にわたって持ち寄るとします。
毎月合計100万円が集まるので、参加者の一人がそれを受け取ります。
これが毎月行われ、12カ月後に10人目が100万円を受け取って終了します。
簡単に説明しましたが、この一連の流れを頼母子講といいます。
また、Aさんが急に100万円を要する急用ができてしまったとしましょう。
普通は、金融機関などからお金を借りなければならないでしょうが、頼母子講に参加していれば利息を支払うことなく100万円を集めることが出来ます。
つまり頼母子講は、金銭的に困った時、お互いに助け合う互助会のようなものです。
講(グループ)は基本的に同じ地域に住む者同士で作られるので、その地域内でお金を流通させることができるという、経済的な効果もあります。
頼母子講とねずみ講の違い
「ねずみ講」が頼母子講と決定的に違う点は、ねずみ講は完全に違法であるという点です。
どちらも「講」とつくので、似たような仕組みでは?と思いがちですが、「講」は単に「グループ」を指す言葉で、それ自体に悪い意味はありません。
ねずみ講は商材がなく、金銭の配当だけを目的としたシステムであり、最初に始めた人だけが儲かり、末端の会員は損をする人も多く出ます。
これは、特定商取引法により禁止されており、参加者全員が罰せられます。
また上記とは違い、しっかりと商品を流通させている場合は「ねずみ講」ではなく、マルチ商法と呼びます。
これは違法なものと合法なものがあり、ねずみ講やマルチ商法は、永遠に会員を集め続けなくては破綻してしまいます。
一方で、頼母子講は最初に参加人数を決めてグループを作り、満期になった時点で講は解散します。
ねずみ講のように無限に会員数が広がることはありません。
信頼のおける仲間だけで作られていることが多いので、ねずみ講のように手当たり次第知り合いを勧誘して、人間関係が破たんするというようなこともありません。
信頼関係が必要
頼母子講をするにあたって一番大事となることは、やはり信頼関係が大事となります。
もしも信頼関係が築けないような人と、頼母子講をしてしまっては、自分がお金をもらう順番に回る前に、どこかに逃げられてしまうかもしれません。
今では他人を信頼しない、近隣地域の人との関わりが非常に少ないという人も多いので、他人を信頼できないという人である場合は、頼母子講はやめておいた方がいいでしょう。
心配事がまた一つ増え、身体的ストレスなどの原因にもなりかねませんので。
テレビでも紹介されている
頼母子講が怪しいや信頼していいものかどうか…という悩みを抱いている人もいるかと思いますが、頼母子講は昔からある習慣であり、テレビでも紹介されることもあります。
例えば「月曜から夜更かし」という、マツコ・デラックスさんと関ジャニの村上信五さんが司会を務める番組では、沖縄の頼母子講が紹介されていました。
「他人にお金を預けるなんて…」と思う人もいるかもしれませんが、沖縄のような小さな島国であった場合は、地域での繋がりがかなり強いこともあり、頼母子講をしている人が今現在も存在しています。
見直したい頼母子講の精神
いかがだったでしょうか。
頼母子講は離島など、地域の結びつきが強い場所で発展しました。
沖縄では「模合(もあい)」と呼ばれ、現在でも習慣的に行われています。
お互い顔が分かり信頼できる仲間内で助け合い、借りたものはしっかり返す、そんな「助け合い」の関係が頼母子講です。
人間関係が希薄になってきている昨今では、見直していきたいシステムではないでしょうか。
また、「おいしい儲け話やいい儲け話のヤバイ罠」もセットで読んでみましょう。
おいしい儲け話ほど怪しむことが大事、ということは今では常識のように思う人も多くなった言葉ですが、実際のヤバい罠という現実も知ってみませんか?
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